遠野市から大口町へ届けられる支援
おおぐち社協だより
平成27年1月号も併せてご覧ください
去る平成26年5月24日、遠野市社会福祉協議会と大口町社会福祉協議会は、『災害時相互応援協定』を締結。将来にわたる相互交流と災害時の連携を約束しました。
今回の訓練は、協定に基づき、遠野社協が行なった震災時の後方支援活動の経験を活かし、両社協合同の災害支援訓練が実現したもの。 南海トラフ巨大地震等の大規模災害が発生し、遠野から大口への支援が必要となった想定で、車両による経路訓練、災害ボランティアセンター運営のための職員派遣、炊き出し訓練等を実施しました。
炊き出し訓練は、ふれあいまつり2014 ふくしわくわくランドの会場内「大口絆つなぐネット」のブースで、岩手の郷土料理「ひっつみ汁」を調理・無償配布をすることとなりました。
大口絆つなぐネット
とは |
東日本大震災後の平成23年6月、遠野市内で震災復興支援ボランティアを派遣する拠点として、行政・ボランティア・社協によって立ち上げられ、活動を開始。ボランティア団体として、現在も東北支援を継続しています。 |
片道14時間をかけて…
10月30日午後8時、遠野社協の事務局長以下職員3名、遠野市職員2名、遠野市綾織地区の皆様6名の『支援訓練隊』が、遠野を出発。片道14時間をかけて、31日午前10時半に大口へ到着しました。
合同で災害支援訓練の開会を宣言後、早速「ひっつみ汁」の下準備を一緒に行いました。
「ひっつみ汁」とは、小麦粉の記事を手でちぎり、具だくさんの汁で煮込む岩手の郷土料理。「手でひきちぎる」事を岩手の方言で「ひっつむ」と言います。鶏ガラ出汁、鶏肉、野菜のうまみが、モチモチのひっつみにしみた絶品汁です。
遠野市綾織地区の女性5名の皆様が、小麦粉を練ったり野菜を切ったりする作業を指導してくださり、大口社協職員が一緒に準備を行いました。
遠野では、地域の集いがあると女性たちが集まって、みんなでこの作業を行うのだそうです。
炊き出し訓練の当日は、どしゃ降りの雨…
11月1日ふれあいまつり当日は、大口絆つなぐネットのブースで「ひっつみ汁」を調理し、250食を来場者に無料配布しました。ハソリ(大鍋)で次々と生地を茹で上げ、鶏肉や野菜とともに煮込んで配膳。雨の中、途切れることのない来場者の列に、大口絆つなぐネットのボランティアスタッフも必死で対応しました。
激しい雨が降る悪天候の中、準備や行程に時間がかかり、実施内容の変更等の対応に追われました。しかし、どのような事態が起こるか予測不能な災害時の訓練としては、むしろ実りのあるものとなりました。
大口町民の皆様に遠野市を知ってもらい、郷土料理を味わって欲しいとの願いから、遠野市の皆様は、雨が吹き込むブース内でも笑顔で応対されていました。
人と人との相互交流があってこそ、できる支援
今回、遠野の皆様と、鈴木町長をはじめ大口町議会・行政・社協関係者との交流も実現。
今後の災害対策において、震災復興支援の経験をもつ遠野市社協との緊密な連携が、大きな支えとなることが再確認されました。
平成24年3月に遠野市綾織地区でホームステイ(民泊)を経験したボランティアの児童・生徒たちが、ホストファミリーの及川氏・石関氏と再会。念願かなって一緒に「ひっつみ汁」を食べながら、再会の喜びを分かち合いました。
さらに、ふれあいまつり会場の健康文化センター内では、遠野市の特設PRコーナーを設置。「災害時相互応援協定」の締結式を取り上げていただいた遠野テレビのニュース映像を再生しました。
遠野市のマスコットキャラクター「かりんちゃん」も登場し、遠野市のPRや大口町民の皆様との交流等に活躍しました。
遠野市社協 佐々木事務局長からは、「遠野と大口、末永く交流を深めましょう!」との心強いお言葉をいただきました。
「災害時相互応援協定」は、社会福祉協議会だけのものではありません。遠野市と大口町の住民の皆様に、災害時に支援してくれるまちがあることを知っていただく。そして、災害時のいざというときに役立つ協力関係を築くため、社協を中心に今後も災害支援訓練を継続して実施し、相互交流を深めていきます。